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2017年 自然科学写真シリーズ

写真:伊知地 国夫

2017年1~2月 過飽和状態からの結晶化

硫酸ナトリウムを約30℃の水に十分溶かして飽和水溶液をつくり静かに温度を下げていくと、温度を15℃ほどに下げても結晶化が起こらない過飽和状態になる。このとき、硫酸ナトリウムの小さな結晶を落とすと、そこを核にして結晶化が放射状に広がり始め、あっというまに全体が結晶化する。右の写真は、結晶化のはじめから終わりまでが、わずか15秒ほど。生き物のように結晶が成長する様子を見ていると、自然の不思議さを感じる。

2017年3~4月 葉緑体(オオカナダモ)

オオカナダモ(水草)の葉を顕微鏡用のスライドグラスにのせ、葉緑体のようすを撮影した。緑色の粒が葉緑体で、そのなかに葉緑素が含まれている。葉緑体の中では、水と二酸化炭素から光をエネルギーとしてデンプンなどの養分を合成する「光合成」が行われている。そのときの反応で余った酸素は外部に放出され、現在の大気中のほとんどの酸素はこの反応で生まれたものだ。葉緑体は地球上の生命を支える最も重要なものといえるだろう。

2017年5~6月 毛管現象

細めのガラス管の端を水面に立てると、水面から水がスッと管内を登っていく。毛管現象といわれ、水が重力に反して上に登ろうとする力は、ガラスと水が引き合う力と水が球になろうとする表面張力との合力によって生まれる。毛管現象は管ではなくても生じ、隙間があればどこでも起こる現象だ。自然界は小さな隙間だらけだから、雨の水などはあらゆる隙間に浸透する。毛管現象自体は小さな現象だけれど、水にかかわる自然の変化に大きな影響を与えている現象でもある。

2017年7~8月 アブラゼミの羽化

アブラゼミの羽化は夕方から始まる。木の根元近くなどにある穴から幼虫が地上に出始め、羽化の場所を探しながらゆっくりと木に登り、適当な場所を見つけると羽化が始まる。コンクリートの柵や塀などで羽化しているところをみかけることもある。背中からのけ反るようにして出ると、カラの近くで羽根が伸びるのをじっと待つ。出たばかりの羽根の色は透き通って白く印象的だ。このときのアブラゼミはとても無防備で、アリなどに襲われることもある。やがて羽根は茶色く固くなり、しばらくすると飛び去って行った。

2017年9~10月 乾燥ウミホタルの発光

海水中に生息するウミホタルは甲殻類に属し、乾燥しても殻に守られて体内の成分が残っている。この乾燥ウミホタルに水をかけると、発光成分(酵素のルシフェラーゼと、ルシフェリン)が反応して、青白い光を発する。2008年、オワンクラゲの発光の研究でノーベル賞を受賞した下村脩博士はこのウミホタルルシフェリンの結晶化に成功している。生物が発光する青い光を見ていると神秘的な感じがするのはなぜだろうか。

2017年11~12月 物の重心の動き

プラスチック製の玩具の金槌の重心に緑色の発光ダイオードを取り付け点灯させ、柄を持って回転するように放り投げる。そのときの重心(発光ダイオードの位置)と金槌の回転の動きを同時に1枚の写真で撮影した。金槌の運動中はシャッターを開けてダイオードの光を線状に写し、同時にストロボを一定間隔で発光させてその動きも重ねて 撮影した。金槌は回転しているけれど、重心はきれいな放物運動をしていることがわかる。